「こんどはきみがうたうばんだ」
 あかねちゃんも おおきなこえでうたい
ました。
「おーたまじゃくしは、カエルのこー、
なまずのまぁごでは、なぁいわぁいなー」
 さっきよりすこしむこうでキラリキラリと
おたまじゃくしがはねました。
「そーれぇがなにより、しょうこにはー
やがーて、てぇがでるあーしがでるー」
 そらにうかびながら、キルケゴールが
またうたいます。
 キルケゴールのまねをして
あかねちゃんがうたうと、またまた
おたまじゃくしたちがとびだしました。
あかねちゃんは ずんずん
すすんでいきました。
「おーい、あんまりさきにいくと
ゴセンがなくなるぞー」
 うしろのほうから、
キルケゴールのこえがしました。
でも、おたまじゃくしをつかまえる
のにむちゅうになっていた
あかねちゃんには、そのこえが
きこえていませんでした。
 とびだしてきたおたまじゃくしを
エイッとすくったひょうしに、
あかねちゃんのあしのしたには
フイッとなにもなくなって
しまいました。
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