ギターのおとにひっぱられるように、ゴセンはしたにむかって
ながれていきます。そして、ついにゴセンのはしっこに
あかねちゃんのいえが みえてきました。
かべをいつのまにか とおりぬけて、
あかねちゃんは おとうさんのへやの
なかにたっていました。
「あれ、あかねちゃん。
こんなよなかにどうしたんだい?」
ずっとおきて うたをつくっていた
おとうさんは おどろいたかおで
いいました。
「あのね、あのね、おたまじゃくしを
たくさんとってきたの!
おうたになるおたまじゃくし、
ひゃっぴきも とってきたんだよ」
あかねちゃんは、ワクワクしながらバケツの
なかを おとうさんに みせました。ところが
バケツのなかはからっぽです。すごいスピード
でおちていたあいだに、おたまじゃくしは
バケツから とびだしてしまったのです。
あんなにいっしょうけんめいとったのに。
あかねちゃんはかなしくて なきだしてしまい
ました。すると、おとうさんがあかねちゃんの
あたまをやさしくなでて、いいました。
「よくなかをみてごらん。なにかはいっているよ」